企業名 | 山陽特殊製鋼株式会社 |
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所在地 | 姫路市飾磨区中島3007 |
事業内容 | 特殊鋼の製造および販売 |
従業員数 | 1,319人(男性1,202人、女性117人)※2010年10月現在 |
冊子掲載 | 平成22年度 第2回ひょうご仕事と生活のバランス 企業表彰事例集 |
※上記については、表彰時あるいは情報誌等記載時のデータです。
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20年後に社員の25%を女性に 少子高齢化にらみ女性の活躍を後押し
少子高齢化の進行による労働人口の減少に加え、若年層のものづくり離れが、製造系の企業に採用への危機感を募らせています。それは大手企業でも例外ではありません。山陽特殊製鋼㈱は、企業の競争力の維持に向けて、定年退職者の再雇用制度や製造現場における女性社員の活用などの施策を講じています。それは、全ての社員にとって働きやすい職場環境の整備につながっています。
定年退職者再雇用制度を利用している藤原章さん(左)。技術の継承を実践しています。
定年退職者の再雇用制度を整備
「少子高齢化の進展で必要な人材を確保できなくなるという危機感が強まっており、限られた人材にいかに活躍してもらうか支援を進めてきました」と人事・労政部人事グループの安達恵理子グループ長は話します。
まず力を入れてきたのは、定年退職者の再雇用制度です。労働組合からの申し入れもあり2003(平成15)年に導入しました。製造現場は3交替勤務で夜勤も伴うため、体に負担がかからないよう1週間に複数日休める休日増型、1日の勤務時間を短くする時間短縮型の2つから働き方を選べるようにしている点が特徴です。
力仕事の負荷を軽減するなど、現場で安全に働けるようにするための改善活動にも取り組んでおり、定年退職者の約8割が再雇用制度を利用しているといいます。現在、再雇用制度により働いている社員は55人で、3年後には100人を超え、従業員の約1割を占めるまでになると予測されています。「今後も新たな働き方を考えていかなければなりません」と安達グループ長は先を見据えます。
あえて高い目標掲げ決意を示す
一方で、2007(平成19)年から取り組みをスタートさせたのが、女性社員の活躍を支援する施策です。「人口の半分は女性であるにもかかわらず、当社では長らく男性に偏った採用を続けていた。将来も競争力を維持、拡大するには女性を積極的に採用し、定年まで働ける環境整備を進めなければならないと考えました」と安達グループ長はその狙いを語ります。同時に、10%弱の女性社員比率を27(同39)年度までに25%に引き上げる目標を掲げました。
「毎年、全採用のうち半分を女性が占めないとこの数値は達成できません。あえて高い目標を掲げて、強い決意を示しました」
その一環として、育児休業制度の取得期間を3歳の年度末まで延長し、短時間勤務制度の取得対象者についても今年の法改正で3歳までとなる前に小学3年生の年度末までと設定。託児所などの利用費の2分の1相当額を支給する"育児手当"や、産前休暇を妊娠初期から取得できる制度も設けました。
妊娠中や体調を崩した女性社員が休憩できる部屋も設けられています。
交替勤務のある製造現場にも女性を配置
これまで女性社員の配置が少なかった製造現場への女性の配属にも力を入れています。これに伴い、福利厚生施設の整備にも取り組み、工場内に着替え・休憩スペースや女性トイレを設けたほか、女性用独身寮を確保しました。また重量物を少ない力で持ち上げられる機器なども導入しています。「これまで交替勤務職場に女性はあまり配属されませんでしたが、取り組みを通じて、先入観で男女差を設けないことを訴え続けていきたいです」と安達グループ長。
このほか、配偶者の転勤などに伴う人事異動への配慮もなされており、すでに女性社員2人が東京から姫路、姫路から東京へ異動しました。かつては多く見られた、妊娠、出産を理由にした退職はなくなる一方、2007(平成19)年に10人程度だった製造現場の女性社員数は現在、34人にまで増えています。
「女性も60代の方も働ける職場をつくることは、ひいては、全ての社員にとって働きやすい職場が実現するということ。今後も、男女の区別なく能力を発揮できる職場づくりに取り組んでいきたいです」。同社は次のステップに向け意欲を見せています。
育児休業を取得して家族と触れ合う女性社員。