セミナー・イベント情報

キーパーソン養成講座 仕事と生活のバランス Vol.14 (2012.冬号掲載)

第3回講座

第1部 「WLBを実現する労働時間の見直し方、考え方」

講師:糟谷芳孝氏(当センター外部相談員)

変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制、時間単位の有休取得制度、短時間勤務、在宅勤務、短時間正社員など働き方の選択肢を増やすという観点から各制度の導入ポイントについて説明されました。後半の、自社の労働時間等の設定改善への取り組み状況をテーマにグループで話し合う実習では、皆さん、熱心に話し合われていました。

アンケートでは、「フレックス勤務導入計画があり、他社状況を聞けて、進め方も明確に教えていただけたので参考になった」「自社にはない仕組みがあることが分かり、検討する余地があることに気づいた」など肯定的なご意見が多く見られました。一方、「制度があっても利用できない」とのご意見もあり、今回のプログラムから得られた気づきを自社の今後の取り組みに、キーパーソンとして、どう活かすかということが今後の課題になりそうです。

第2部 「タイムマネジメントとリーダーシップ」

講師:井原準哉氏(当センター外部相談員)

前半は、いかに質の高い時間をつくるかがタイムマネジメントの原則であること、無駄な時間を生まないよう仕事に優先順位付けをし、仕事の目的と達成したい目標を明確にし、PDCA(Plan Do Check Action)サイクルを回し続けることが大切と話されました。後半は、"リーダーシップ"は生まれ持ったスキルと思われがちだが、意識的に磨くことにより伸ばせる能力で、誰でも発揮できるものだと説明されました。"できない"ではなく、"どうすればできるようになるか"と考えて前向きに行動すること、目的を達成するため、優れた能力を持つ周りの人たちをいかにうまく使うか、上司が部下に助けを求めることもリーダーシップの一つと話されました。

アンケートでは、「時間をつくるという発想は当たり前のようで全然実践できていなかった。大変参考になった」「自分と未来は変えられるという心構えに感銘を受けた」などのご意見がありました。

第4回講座

第1部 「組織の変革~現状打破のために~」

講師:藤島一篤氏(当センター主任研究員)

WLB実現推進の際に最も困難とも言える、組織の現状打破について、社長、管理職、社員が"変わる"ことに抵抗を持たれることが多いという現状を踏まえ、多様なタイプの経営者がいることを前提に、「経営者が変わるには?」をテーマにグループディスカッションも実施。どのグループも、経営者や社内の人たちとしっかりコミュニケーションを取る必要があると発表されていました。WLBの実態調査研究を何百社と行ってきた藤島氏は、組織が変わらない事例として、①社長が変わらない→放任的で管理職に任せている、②管理職が変わらない→今まで通りでいい、③社員が変わらない→どうせ変わらない、といった例もあると力説。組織が変わるには、個人の変化に加えて、経営者や職場全体にも影響を与えていく必要性があると締めくくられました。

第2部 「意識改革を促すためのコミュニケーション」

講師:井上泰世氏(当センター外部相談員)

WLB実現推進のために必要な意識改革を進めるに当たり、関係者へのアプローチ方法を考え、効果的なコミュニケーションをとるためのスキルについて学びました。最終回でのプレゼンテーション準備も兼ねたプログラム内容です。プレゼンテーションには1対1のものから1対多数で行うものまであることや、準備段階で大切な2点を紹介されました。1点目は「計画と構成」。プレゼンの目的、プレゼンで何を成し遂げたいのかというゴール、そしてプレゼン後、相手に示してほしい反応(期待する結果)を意識しておくことが重要であること。

また、背景やニーズ、テーマへの理解度など相手の状況を把握しておく必要があることも話され、"プレゼンテーション準備シート"を用いたワークも実施。2点目は「リハーサル」。時間内にプレゼンを終える練習だけではなく、話す速度や姿勢、態度を意識することも大切、誰かに見てもらいアドバイスを受けるとよいとも話されました。

最終回 & フォローアップ講座開催決定

29企業・団体、31人で開講しましたが、全課程修了は15企業・団体、17人。最終回に参加されたのは17企業・団体、19人。2グループに分かれて同時進行で順次アクションプランを発表していただきました。3企業からは上司の方も参加され、皆さんの発表を熱心に見守っておられました。この回は、当センター外部相談員勉強会も兼ねていたため、当講座の講師を務められた先生方を含め16人の方が見学。発表者と見学者との質疑応答タイムの後、最後に、参加者一人ひとりが決意表明としてひと言ずつ発言されました。

アンケートを拝見する限り、改善点はあるものの、初の試みにしてはかなりご満足いただけたようです。頂いたご意見を今後の企画に反映させ、次年度はさらに充実したものをご提供したいと思います。また、急きょ、来年2月6日にフォローアップ講座を開催することとなりました。最終回から約3カ月経過後のご様子を共有できる機会にしたいと考えています。

修了証書授与式

11月21日午後、兵庫県公館で修了証書授与式を行いました。全5回修了者のうち、修了式に参加されたのは12団体14人。代表者が知事から授与された修了証書を手に、全員で記念撮影に臨みました。

講座を終えて

WLBをテーマにした研修は多数ありますが、受講者個人が、受講後に意識を変え、それに基づき行動を変えることができない限り、その研修は無意味なものと言えます。今までは「できない」と思われていたことが、受講後に、「できる」かもしれないと思っていただけるように、そして、「まずはやってみよう」と思っていただけるようにという思いで、この連続講座を企画しました。初めての試みにつき、改善点も多々ありますが、最終回の皆さまの力強い決意表明を拝見し、この企画をやってよかったと、つくづく思いました。2月6日のフォローアップ講座で皆さまからその後の状況を伺えることを楽しみにしています。

(ひょうご仕事と生活センター主任相談員 北尾真理子)

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