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最先端企業見学ツアー

平成25年度 「挑戦こそが従業員・地域・企業の未来を育む!」

平成25年度最先端企業見学ツアー ~挑戦こそが従業員・地域・企業の未来を育む!~

開催日 平成25年10月24日・25日
テーマ 挑戦こそが従業員・地域・企業の未来を育む!
訪問先 [1日目]
 有限会社エヌ・イー・ワークス(島根県仁多郡奥出雲町)
[2日目]
 株式会社ワコムアイティ(島根県松江市)

 ひょうご仕事と生活センター主催の「最先端企業見学ツアー」が2013年10月24日と25日の2日間、さまざまな業界の方々が参加して開催されました。今年度は、出雲大社の60年ぶりの「平成の大遷宮」で注目されている島根県にある有限会社エヌ・イー・ワークスと株式会社ワコムアイティを訪問。それぞれの組織で取り組まれている「従業員・地域・企業の未来を育むための挑戦」についてお話を伺いました。

【1日目】
有限会社エヌ・イー・ワークス
(島根県仁多郡奥出雲町)

 最初に訪問した有限会社エヌ・イー・ワークスは、電子部品組み立て製造および検査、食品製造および加工をされている会社です。同社は女性や高齢者など多様な人材活用の実践を認められ、2013年度ダイバーシティ経営企業100選に選ばれました。到着後、三澤誠代表取締役社長に講演していただき、「仕事をつくるのが仕事です」という社長の熱い思いを伺いました。

三澤社長
(三澤社長)

 同社は電子部品の組み立て製造を主にスタートしましたが、リーマン・ショック後受注が減り、新たな活路を見いだす必要に迫られました。そのころ、同社がある奥出雲町は人口減少が著しく、65歳以上の割合が35%を占める状況が続いており、三澤社長は「地域を元気にしたい。地域の熱いこだわりを持って作る人、もの、こころ(地域が持っている資源)をつなぐ仕事をつくりたい」という創業以来の思いから花ビジネスを始められました。

 花ビジネスとは、食べられる乾燥押し花、ドライエディブルフラワーを作る仕事のことです。地元で生産したものを利用し、地域の方々の雇用を生み出す。この両方を実現できるのが、ドライエディブルフラワーだったそうです。精密部品の製造と繊細な押し花作りは、非常に似ている作業とのことで、もともと精密カメラ用のクリーンルームだった部屋を、現在は花の栽培ルームに再利用されています。そのうち、「押し花加工を自分たちだけで完結する必要はない」と考え、さまざまな理由で自宅を離れられない人にこの仕事をお願いすることに。それが地域の雇用につながるのではと考えたのです。栽培ルームで開花手前まで育て、その後は、地域の中で在宅栽培を希望される人に押し花作りまでの作業をお願いします。その結果、働きたくても家を離れることができない高齢者や育児中の方などの雇用を守ることができています。

押し花を使用した菓子製造の様子。一枚一枚丁寧に載せていきます
(押し花を使用した菓子製造の様子。一枚一枚丁寧に載せていきます)
押し花加工に携わる地域住民
(押し花加工に携わる地域住民)

 社長のお話の後、第三製造部の八澤豊幸さんから商品開発について説明があり、質疑応答の時間になりました。ツアー参加者からの「休みやすい雰囲気か」などの質問に、三澤社長は、「女性の占める割合が7割以上ですし、気持ちよく休める雰囲気づくりを心掛けています。『体調不良で休みます』という申し出に『早く良くなるといいね。お大事に!』と言ってあげられるような職場は、みんなが働きやすいと思うし、お互いさま意識はとても重要です。そもそも職場のコミュニティーと地域のコミュニティーが一緒なので、互いにカバーし合えます」と語られました。

 同社は、何より「地域を元気にしたい」という思いから挑戦することを選択。多様な働き方ができる上に、地元の雇用を生み出すという方法で、地域、従業員、そして企業の未来を育んでいます。三澤社長の挑戦は、組織だけでなく、奥出雲町の未来をも輝く方向へ導いているようでした。

【2日目】
株式会社ワコムアイティ
(島根県松江市)

 2日目は、株式会社ワコムアイティを訪問。同社は、システム構築やソフトウエア開発、デジタルコンテンツ制作等を行う会社です。同社の経営理念は「喜びを創造する」というもので、今岡克己代表取締役は、講演の冒頭にも「何事も一生懸命やれば楽しいですよね」とおっしゃいました。

今岡代表取締役
(今岡代表取締役)

 同社は、社員5人からスタート。今岡代表取締役は、家族のために島根県に戻り、家族を守るために「日傘になろう、雨傘になろう」と考え、20年間、仕事の傍ら学校や地域の役員を続けられたそうです。その活動を続けることで、そこからどんどん同社の応援団が増えてくることを感じ、地域活動が意味あるものだと気付きました。

 そこで、同社は「もう一役運動」という取り組みを始めました。これは、社員が地域活動の役員などを担った場合、就任期間中毎月1,000円の「もう一役運動手当」を支給するというものです。現在6人の利用者がいて、もう一役運動は広がりを見せています。

 今岡代表取締役の講演後、もう一役運動を実践されている社員の遠藤浩明さんと藤田みどりさんに体験談を話していただきました。遠藤さんは、3人のお子さんがいらっしゃり、2010年から実践されています。最初は保育園の保護者会の役員をし、今は、小学校のPTA副会長をされています。「今では、地域活動の奥深さに目覚めてしまいました。人脈が広がりますし、そして何より、異業種交流をすることで、コミュニケーション能力が向上したことを強く感じています」とのことです。続いて話をしてくださった藤田さんは、小学生のお子さんがいらっしゃり、児童クラブの保護者会会長やPTA地区委員をされています。「最初はすごく不安でしたが、やっていくうちに楽しくできるようになりました。何より楽しくやることが大事だと思います」と話されました。そして、社内でも18時までだった勤務時間が、保育園の預かり時間に合わせて17時半までとなり、その結果、延長料金を払うことなく、子どもを迎えに行くことができるようになったそうです。「勤務時間の変更ができたのも、わが社の魅力だと思います」と藤田さんは笑顔でおっしゃいました。

 最後の質疑応答では、「もう一役運動のおかげで、仕事にもいい影響が出ている。コミュニケーション能力が向上したり、人に伝える能力が伸びたりしている」という回答もあり、今岡代表取締役は「自分が思った以上に効果を感じてくれているようでよかった」と感想を述べておられました。

本社外観
(本社外観)
今岡代表取締役とツアー参加者の記念撮影
(今岡代表取締役とツアー参加者の記念撮影)

【ツアーに参加したセンタースタッフのコメント】
 今回のツアーで訪問した2社は共通して、「地域とのつながり」をとても大切にされているので、「この会社がこの地域にあってよかった」と思われるような会社だと強く感じました。そして、地域のために頑張ることが、従業員の働きやすさにもつながっています。みんなの思いが一つになっていて、地域の大切なものを守りながら、新しいものを生み出し、その地域の「元気な姿」を求め、挑戦し続けている2社だと思いました。

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